迫る!住宅業界に木材不足の危機。
2021年、木材の価格が世界的に高騰し、住宅用の木材が不足するという事態が発生しています。
こういった事態を「ウッドショック」と呼ばれ、日本の住宅業界への大きなダメージが懸念されています。
ウッドショックの原因は何か?今後、日本にどのような影響があるのかを紐解いていきたいと思います。
なぜ今?ウッドショックの背景
「ウッドショック」が起きる要因は、短期間に起きる急激な木材の価格高騰、木材の供給不足です。
今回発生した「ウッドショック」の発端はアメリカにあります。
アメリカでは、新型コロナウイルスに伴う在宅ワーク、テレワークの普及により、住宅ニーズが大幅に増加しました。世界の木材はアメリカに集まる傾向があるので、輸入木材の需要と供給のバランスが崩れたことが発端となり、価格高騰に歯止めがかからない現象が起きたのです。
では、なぜアメリカの住宅需要が増加すると、日本の住宅市場まで影響を及ぼすのでしょうか?
6割が輸入材を使用。複雑な日本の住宅事情
アメリカでの住宅ニーズの急増が日本に影響を及ぼす理由は、日本の住宅で使用する木材の大半が、輸入材に頼っているからです。
「そもそも日本は国土の7割が森林なのに、なぜ輸入材に頼るのか?」
「だったら国産にシフトすべきでは?」
という声が聞こえてきそうですが、
実は、日本の木材自給率は3~4割程度と決して高くありません。
その理由は、かつて木材輸入の自由化によって国産材の価格が高騰したこともあり、輸入材の需要が高くなったことが要因で、木材自給率が急速に下降したのです。
また住宅の梁など荷重のかかる部分は、強度と耐久性に優れた輸入材が向いているため、よく使われています。
さらには、住宅に使用するような商用の木材は、伐採や搬出・搬入するための人員確保、乾燥に一定の時間がかかるなど、市場に出すまでには多くのプロセスが必要です。
国産の木材にシフトするには、そういった課題をクリアし、急激な需要に対する供給への体制を整えなければいけません。また物流の混乱でコンテナが確保できず、輸入材の調達が困難という現状もあります。
そういった理由から国産材への切り替えが容易ではなく、結果的に輸入材のニーズが高まり、輸入材の価格高騰が日本に影響を与えてしまうのです。
すでに国産材の争奪戦は始まっており、十分な国産材の供給が行えない状況下で、林野庁は4月30日に住宅業界に対し、余分な買い占めや過剰な在庫を持たないよう要請を出しました。
国産材の工場をフル稼働させ、通常より生産体制などの強化を図るなど、国産材へのシフトも加速しています。
しかし5月からも上棟に遅れが出始めてるところもあるとのことで、依然として先の見えない状況には変わりありません。
住宅価格は高騰する?
それでは、皆様が一番に心配している住宅価格の高騰についてはどうでしょうか?輸入材が手に入りづらい状況が続けば、住宅価格に影響は出てくることは想像に容易いでしょう。
実際、プレカット工場各社でも3月末から受注を9割に制限するなどの対処をし始め、木材が入手できないとなれば、価格の高騰は避けられません。
今買うべきか?タイミングは?
この先いつまで「ウッドショック」の影響があるかは、正直なところわかりません。
「ウッドショック」への有効策を即座に示すことも難しいです。
一時的ではあるものの住宅価格の高騰が避けられない状況の中、「ウッドショック」の市場への影響を考え、住宅購入の是非を判断をすることが求められます。未だ終息の目途が立たない新型コロナ問題。
現在世界や日本が置かれている状況を正確に理解し、皆様のお役に立てるよう、最新の情報を発信し続けることが私たちの使命と捉え、どのような状況下でもプロフェッショナルとして、皆様に寄り添っていきたいと思います。