コンクリートブロック塀って大丈夫?
近年の地震や災害のたびに、倒壊の被害や問題が報告されるブロック塀。
ニュースが極端な意見や見方を声高に訴えているのを聞くと、ブロック塀はまるで悪者。エクステリア施工業者としては胸がモヤモヤ。
そんなに悪いものでないはずだけれど、胸を張ってお勧めもできない….。もういちどブロック塀について知ってこの胸のモヤモヤを解決したいと、改めてブロック塀について調べました。
一般の皆さんに分かるよう簡単にまとめましたのでコンクリートブロック塀を見直し、安心して採用していただけたらと思います。
コンクリートブロックが普及した背景
さて、コンクリートブロックのことなんてよく知らない一般の方々にとっては、もう「高いブロック塀なんて凶器!」とまで思っていることでしょう。
そんな世間の風潮に、ホントは塀が欲しいと思っていても「コンクリートブロック塀って大丈夫?」と不安になってあきらめてしまうお客様も少なからずいます。
でもブロック塀は悪者ではありません。
戦後の物資の少ない時代に、安価に製造できて運搬も楽で加工しやすいことから、復興建材として一気に普及しました。
復興のために国もブロック塀を後押ししたのは、戦災による火災の延焼をブロック塀が少なからず止めたという事実がありました。
現在の日本では、戦災よりも震災の方が身近な危機です。
そこで想像しても家屋が倒壊した時ブロック塀が障壁になって避難路を確保する、住宅密集地では火災の延焼を止める、など高い公共のメリットがあります。日常生活でも、通りに面した建物の場合、車の衝突の障壁としても有効です。
目隠しや、防犯といった個人的な理由もありますが、ブロック塀にはこういった公益性も高いことをぜひ理解してください。
もともとイギリスで発見されたポルトランドセメントという素材が、自在な形に加工できて石のように硬く固まることから、石材に代わる画期的な建材として建築に取り入れられました。
やがて、セメントで作ったブロックのピースを積み上げて使う工法が開発され、アメリカの大震災の時その工法の建物が多く倒壊を免れたことから、コンクリート製のブロックが普及しました。
日本でコンクリートブロック塀が普及したのは戦後からなのです。
さて、戦後からこれまで時代のニーズや技術の向上によって、ブロックは規格や製造を改良、改善しながらより良い建築材料として使われ続けています。
そのブロックを使った塀の施工規準も、より安全なものへと見直し提案が行なわれています。これでブロック塀が「悪者」ではない理由はお判りいただけたでしょうか?
でも実際、ブロック塀の倒壊の危険性はどうなの?
戦後に規格されたブロックやブロック塀はその時代には適当でしたが、今では取り巻く環境が大きく変化しました。
大きな地震が頻発したり、家屋のデザインも変化しました。車も昔に比べて大きく力も強い。
それらに相応なブロック塀を考えて、建築学会では独自の施工規準を作っています。
ただ、法的な拘束はないのであくまでつくる人の知識と認識が重要になっているのが現状です。
もともとコンクリートブロックは、重くて高価で加工しにくい“石材”に代わる建材として普及した経緯があるので、軽い・安価・加工しやすいものでなくては意味がありません。
しかしそのぶん劣る強度を補う必要があるため、空洞の中に入れる鉄筋と充填コンクリートがとても重要です。
では、どうやってどれだけ鉄筋やコンクリートを充填したら十分な強度になるの?となります。
この強度に対する認識は時代とともに変わってきました。先の通り年々より強く安全を求める傾向です。
そこで最新の(正しい)知識での設計が必要になるのです。
ブロック屋さんでなくても、素人でもホームセンターに行けばブロックもセメントも鉄筋も買うことができるので、ブロック塀は簡単に作れてしまいます。
でもその塀は大丈夫?30年経っても地震が起きても簡単に倒れない?と聞かれた時、責任を問われるのは誰でしょう。
それは施工を依頼したユーザー、施主様です。
たかが塀と思わずにちゃんと設計して作ってくれる人を選んでお願いすべきなのがお判りいただけるでしょうか。
もう一つ、ユーザーの大きな勘違いがあります。
それは、ブロック塀は堅牢で、一度作ったら簡単に壊れないと思い込んでいることです。
ブロック塀の素材である、コンクリート、モルタル、鉄筋は、木造の建物と同じように経年劣化します
風雪にさらされるコンクリートブロック塀はとても過酷な環境にあります。耐久年数は、先ほどお話しした様な良い設計施工のものでも30年。木造と同じく経年すれば耐力は落ちて簡単に壊れるものになります。
そんな古いブロック塀に子供がよじ登ったら…。恐怖ですね。
持ち主は責任持って点検し、劣化の時期が来たら立て直すことも必要です
コンクリートブロック塀のおすすめ
ここまでをまとめると、ブロック塀のより良い作り方を後回しにしてコスト優先で作ってしまうこと。
堅いものは壊れないと勘違いして長年放置してしまうことが、ブロック塀の倒壊を招くのです。
これを防ぐことができるのは、塀を作ってと頼むユーザー様だけです。
敷地内に心配なブロック塀がある、と心当たりのある方は、信頼できる外構屋さんと一度リフォームを検討してみてはいかがでしょう。
ここまでをまとめると、ブロック塀のより良い作り方を後回しにしてコスト優先で作ってしまうこと。
堅いものは壊れないと勘違いして長年放置してしまうことが、ブロック塀の倒壊を招くのです。
これを防ぐことができるのは、塀を作ってと頼むユーザー様だけです。
敷地内に心配なブロック塀がある、と心当たりのある方は、信頼できる外構屋さんと一度リフォームを検討してみてはいかがでしょう。
控え壁のいらないブロック「ユニRM型枠ブロック」
最後にブロック塀の安全な設計には「ブロック塀の控え壁」が必要という問題がありますが、敷地の事情で控え壁が作れないから塀は無理とあきらめている方に朗報です。
多少コストは上がりますが一般的なブロックと違う、控え壁のいらない製品が開発されました。(株)ユニソンの「ユニ RM型枠ブロック」という商品です。
簡単にご紹介しますと、本来は擁壁(地盤に高低差を作るための壁)に使用するPC型枠ブロックという通常のブロックより堅牢な規格のブロックがあります。それを、擁壁ではなく塀用として独自の設計基準を作り、鉄筋コンクリート造の壁(RC構造壁)と同じ安全性を認めたものです。
詳しい商品のご紹介は、こちらから(株)ユニソンのサイトをご覧ください。
(通常のブロックよりも厚みも大きく、安全性を確保するためのがっしりとした基礎も必要なので、実際に採用できるかは設計して判断する必要がありますのでご注意ください。)
またFJ DESIGN PLUS では、他の同業者様より工事費は高めになってしまいますが、壁にはこの型枠ブロックを基準で採用しています。
安全・安心を第一に考えたいユーザー様なら、エクステリアにも安全な材料で良い施工という視点で検討してみるのはいかがでしょうか?
社会のニーズが増えれば、こういった良い商品が当たり前に普及することが期待できますね。
もちろん、われわれ建築業界も正面からこの問題に向き合うことで、設計基準の見直しや製品の向上がさらに進んで、業界もユーザーもみんなが安心して作れるブロック塀が一日でも早く普及することを目指していきたいと思います。
〈参考文献とセミナー〉
一般社団法人 日本建築学会 組積工事運営委員会 編集
「安心なブロック塀を目指して」
http://news-sv.aij.or.jp/zairyou/s2/
株式会社ユニソン主催
「今こそ安心なブロック塀を目指して」~ブロック塀の適正な設計と施工~
ユニソンコミュニティセミナー