今年もいよいよ残すところ僅かとなりました。そんな年の瀬に届いた一通のメール。
今回の年末年始はゆっくり過ごそうと思った矢先の出来事。年末モードが一気に吹き飛びました。
それは住宅設備・建材メーカーからの「一部製品の生産遅延」に関するお知らせでした。
「半導体ショックの波がついに来たか」という感じです。先日、半導体ショックの記事を公開したばかりでしたが、今回はそれに関連して皆様にどうしても知っておいてもらいたい業界の実情をお伝えしたいと思います。
直面する家づくりの危機!
設備機器の発注のタイミングは?納入の流れは?
現在、半導体不足(半導体ショック)で、ガス給湯器や温水洗浄便座(シャワートイレ)、太陽光発電などの住宅設備機器に製造遅延が発生しており、工期に影響が出ているという事は前回の記事でお伝えした通りになりますが今回は弊社の家づくりのフローから、製品の遅延が実際どう影響するのかをお伝えします。
下記に記すのは主に弊社の家づくりのフローになります。
例えばキッチンのある一般的な住宅の場合、
- ヒアリングを行い、プランのご提案をする(プレゼンテーション)
- 商談を行います(仮決めを経て契約になります)
- 各仕様を打合せします。メーカーショールームにて金額確認、決定をし、同時に請負工事内の全ての設備機器も同時に精査していきます。
- 追加変更契約(差額の契約)
- 決定内容にて、仕様の最終確認(メーカーと代理店と弊社)仕様の最終確認はキッチン以外の設備機器全般になります
- 代理店へ発注請負工事全体の収支が整い次第、一斉発注となります
- キッチン取付工事着手
という流れになります。
40坪程度の住宅を想定とした場合、基礎着工からキッチン納入まで概ね15週間はかかります。
全体のスケジュールを見た場合、契約から発注までのリードタイムは約16週間(約3ヶ月)、全ての精査が完了してから、(キッチンの)現場納入までのリードタイムは約15週間(約3ヶ月)合計リードタイムが約31週間(約半年)となります。
代理店がメーカーへ発注するタイミングは分かりませんが、その際、弊社から代理店への発注は完了している状態になります。
キッチンの場合で言いますと、メーカー側は約7週間(1.0〜1.5ヶ月)の製作期間が欲しいとのことです。
つまり納入までの合計リードタイムが約31週間(約半年)のうち、約7週間(1.0〜1.5ヶ月)を引いた、約24週間目には代理店へキッチンの発注を済ませないといけません。
このように家づくりのスケジュールは逆算をしながら、緻密な計画で進めていくのです。
メーカーからの相次ぐ製造遅延、納期未定、販売ストップ…責任の所在は?
ここでお客様(施主様)視点で考えた場合、お客様がキッチンを決定したと認識しているタイミングとしては、先のフローでお伝えした④の追加変更契約時になります。スケジュールからすると約10週目に当たります。
その10週目からキッチン発注のリミットである24週目の間、つまりこの約12週間(約2.4ヶ月間)の間にキッチンメーカー側の一方的な理由による製造遅延、納期未定、販売ストップ等が発生した場合、弊社のような販売工事店側の対応は大変苦慮を強いられてしまいます。
私たち販売工事店としましては、このような事態に対してお客様への説明責任が発生しますし、ましてや引き渡しに間に合わない場合、お客様に多大なご迷惑をおかけする事になります。
それと同時に私たちも資金回収が出来ないという何とも苦しい事態が発生してしまうのです。
「2ヶ月以上も前に発注したのに、なぜ今になって?」とお客様が感じてしまうのも無理はありません。トラブルへと発展することが想定されます。
この事態についてメーカー側は、WEBサイトでの一方的な告知や、書面やメールでのアナウンスのみ。
メーカーによってはメールでのアナウンスすらなく、販売工事店への周知は一切無しです。
自ら情報を探しに行かない限り、知る術がないというのが現状なのです。
社会情勢に伴う遅延なので致し方ないというのが、メーカー側の言い分かもしれません。
ただその影響で家づくりに深刻な被害及ぼすという事態を重く受け止めるべきで、より責任ある対応をして頂きたい、というのが私たちの正直な気持ちなのです。
家づくりに関わる全ての方に理解して頂きたいこと
今回のような社会情勢等を起因とする理由で製品に遅延が発生していることは、どうしようもないことだと分かってはいるものの、その責任の全てを販売工事店が負うというのはどうか?と疑問を感じざるを得ません。
これから家づくりをする方には理解していただきたいのは、半導体ショックの影響は皆様のすぐ近くまで迫ってきているということ、また製品の遅延などはメーカー側の一方的な言い分である以上、その理由を承服せざるを得ない状況であるということです。
このような事象は、トラブルに発展するケースが想定されますので、事前に消費者が知っているのと知らないのとでは大きく違ってきます。
メーカー側は「一方的に代理店へ書面で通知をして終わり」ではなく、TV CM、TV報道発表やYouTube、SNS等各メディアを利用するなどし、あらゆる手段を用いてその理由を一般の消費者へ届ける義務があると感じております。
残念ながら半導体ショックは今後も続きます。目処が立っておりません。
危機感を煽るわけではありませんが、こういった事実をお伝えするのも私たちの使命であると感じております。
メーカー各社、消費者の方々に少しでもこういった現状を理解して頂き、皆様の家づくりに活用していただければと思っております。